タイとイタリアが労働協力を強化 二国間協議でMOU締結へ

【タイ】タイ政府は、海外労働市場の拡大を通じてタイ人労働者の生活向上を図る方針を進めている。ジュラパン・アモーンウィワット労相が、スイス・ジュネーブで開催した国際労働機関(ILO)総会に合わせ、イタリアのマリア・エルヴィーラ・カルデローネ労働・社会政策相と会談し、両国の労働協力を拡大する方針で一致した。

 イタリア政府は、外国人労働者受け入れを定める法案「フローズ法(Flows Decree)」にタイを正式に含める方針を示しており、タイ人労働者の合法的な受け入れが可能になると期待されている。タイ労働省と駐タイ・イタリア大使館の事前協議では、イタリアが年間2万〜3万人規模のタイ人労働者受け入れに言及。対象分野は農業、医療、サービス業など人手不足が深刻な業種で、2026〜2028年の「デクレート・フルッシ(Decreto Flussi)」政策に基づき、EU域外から50万人の労働者を受け入れる計画の一環としている。

 ジュラパン労相は、両国間の労働協力に関する覚書(MOU)の早期締結を要請。これによってタイ人労働者が合法的にイタリアで働ける仕組みを整え、違法仲介による詐欺被害を防止するとともに、労働者の権利保護、福利厚生、雇用条件の国際基準化を進める。両国はさらに、1)職業教育と共同訓練センターの設立、2)年金制度に関する知識交流、3)労働者と家族の福祉保護、4)タイ人労働者の欧州市場への就業機会拡大――の4分野で協力を強化することで一致したという。

 タイ政府はまた、イタリアの産業連携型教育制度「デュアルトラック教育(Dual-Track Education)」に関心を示し、教育と企業実習を結びつける仕組みを参考に、タイ人労働者の技能向上を図る方針を打ち出している。労働安全衛生や勤務時間外の接続遮断権(Right to Disconnect)の制度についても意見交換を行ったという。

 MOUが締結されれば、イタリアはタイ人にとって欧州の新たな主要労働市場となる見込みで、農業、医療、サービス分野での人手不足解消に貢献すると期待されている。首相府は、「今回の協議はタイが国際的に信頼される『質の高い労働力の供給国』としての地位を強化する一歩となった」と評価している。

ジュラパン労相 写真:จุลพันธ์ อมรวิวัฒน์フェイスブックより

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