【タイ】タイの各メディアの1月20日の報道によると、タクシン・チナワット元首相を含む大物政治家らの購入に端を発する中部パトゥムターニー県のアルパインゴルフクラブの土地問題で、タイ内務省が数十年前の売却の取り消しを命令する。同省土地局が命令を下せば、土地は元の地主に戻されるが、新たに「貸し戻す」ことも可能とされ、同ゴルフ場の営業に大きな支障は生じないという見方もある。
アルパインゴルフクラブの土地は元々、一個人が所有。1969年から1971年の間に、中部プラチュアップ・キーリーカン県の寺院に寄贈されたはずが、実際には故人の遺産を管理する団体が大物政治家らに売却していた。
その後の1996年にアルパインゴルフクラブが開設され、1997年にはタクシン元首相が手に入れた。現在はタクシン元首相の子ども2人および元妻のポッジャマーン氏が株の一部を保有している。ペートーンターン首相が保有していた株は、首相就任直後の2024年9月4日、母親(ポッジャマーン氏)に譲渡されていた。
本来、寺院所有の土地は売買が禁止されており、アルパインゴルフクラブが建つ土地は過去20年以上に渡って違法性が指摘されてきたが、常にうやむやで終わっていた。該当する土地は924ライ(1.5平方キロメートル相当)で、地価77億バーツ(350億円相当)と見積もられる。
内務省土地局によって売却取消命令が下された場合、裁判で争われる確率が高い。命令が受け入れられた場合は、土地は故人の財団に戻され、財団は新たに寺院に寄贈しなければならない。ただ、寺院はアルパインゴルフクラブに土地を貸す契約を新たに結ぶことが可能で、ゴルフ場の営業は継続できると見られる。