タイ進出日系企業 – 見えないままの管理業務①「え!中間仕掛品が在庫とみなさない?」

海外専用業務ソフトウエア開発販売 SimLex Development Co., Ltd.
古賀 敏生 氏

中間仕掛品の実績・在庫が管理されていない!

 日系企業を中心とするタイのお客様に、ERP(企業資源計画)システムをはじめとする海外専用業務ソフトウエアを案内させていただく過程で、お客様がそれまで行ってきた管理業務の実情が見えてくる。さまざまある問題点の中で、より深刻だと思われる事例の一つが、在庫としての「中間仕掛品」の取り扱いだ。

 生産管理システムの導入をお決めいただき、過去の情報を洗い出して新たなシステムに移す際、「購入品」と「完成品」は在庫として管理されているが、その狭間に存在するはずの「中間仕掛品」が見当たらないというケースに出くわす。それも「まれ」にではなく「多々」と呼べるほどの頻度だ。

 言うに及ばず、「もの」というのは生産工程ごとに原価が把握され、中間仕掛品も在庫として管理される。日本でもタイでもその考え方は変わりない。ところがタイの会計では、在庫としての中間仕掛品が現れてこない。

日本人が知らないタイ会計による在庫と原価の扱い!

 実際に数字を取り扱うタイ人担当者に尋ねてみると、「会計事務所の指導に従っている」という答えが返ってくる。会計事務所の指導どおりに数字をまとめていれば、税理士の署名を受けられ、税務署も受理してくれるので、「タイでは正しい」と評価されて何ら不思議なことはない。このように、中間仕掛品を在庫として管理していない企業が多い。

 日本人責任者の方は、そのような会計処理が行われていることを把握されていない、そもそもそのような処理自体をご存じない場合が多い。会計と生産管理の中間に位置する「管理会計」が取り扱う特殊な数字ともいえ、現場を最優先に任された方の目が届かなくても致し方ない。

 それゆえ、適切な会計処理を指導するのが会計監査の役割であるが、逆に中間仕掛品を省略して「実際原価を在庫価格に反映」させる処理を促している。そのような会計監査の担当者に以前、中間仕掛品について尋ねる機会があった。「(中間仕掛品を)在庫としてはじき出す会計処理もある」という答えだったので、煩雑な事務を回避しているだけなのかも知れない。ちなみに、(過去6カ月の平均を割り出した)標準原価管理と(当月の実績による)実際原価管理という分析を怠るケースも見かける。

在庫管理と原価管理に強いベンダーの選定が重要!

 どのようなビジネスも部門別の会計が必須だ。中間仕掛品の在庫価格が把握されない会計処理は、不正確とまではいかないものの精度は明らかに低い。生産工程を無視した製品原価から本来の利益は割り出されない。製品の正当な価値が明らかにされておらず、目に見えない損失を被っている心配さえある。

 弊社のお客様の中には、それまでの精度の低い会計処理に気づき、計算し直したら在庫金額が数倍に膨れ上がって「本社に報告できない」と頭を抱える責任者もおられた。会計監査に代わって我々ベンダーがより精度の高い会計処理をお願いするという役割を担っている。それができるベンダーを選択する慎重さが必要だ。

SimLex Developmet Co., Ltd. 古賀 敏生


九州大学を卒業後、大手ベアリング会社に就職し生産技術研究所にて工程設計を経験し、38才で独立後スケジューラ・生産管理システムを中心とした開発・販売を実施した。その後、タイにてSimLex Development Co., Ltd.を設立し、0ベースよりERP・生産管理システム・会計システムを開発・販売し現在に至る。

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