タクシン元首相が仮釈放、16年ぶりに自宅へ

【タイ】タイの公共放送タイPBSなどによると、タクシン・チナワット元首相(74)が18日早朝、仮釈放され、入院先のバンコク都内の警察病院を出て、都内の自宅に16年ぶりに帰宅した。

 自宅に向かう車内のタクシン氏は次女で最大与党プアタイ党々首のペートーンターン・チナワット氏(37)に付き添われ、首にコルセット、右腕にアームスリングを付けていた。

 タクシン氏は昨年8月22日、15年ぶりに帰国し、裁判所で権力乱用などで禁錮8年を宣告された。そのまま刑務所に連行されたが、数時間後、健康問題を理由に警察病院に身柄が移送され、以来、同病院に入院していた。実際の健康状態については、刑務所ではなく病院で過ごすための仮病ではないかという見方が出ている。昨年9月にワチラロンコン国王(71)による恩赦で刑期が1年に短縮され、今回、仮釈放の条件を満たしたして、仮釈放が認められた。

 タイでは昨年5月に総選挙があり、長年対立してきたタクシン派と王党派が連立政権を組むことで合意。タクシン氏が帰国した8月22日に、プアタイ党と王党派政党などの賛成で、プアタイ党のセーター・タウィーシーン氏(62)が首相に選出された。こうした経緯から、タクシン氏の帰国と恩赦、仮釈放は王党派とプアタイ党の連立政権樹立の取引の一部とみられている。

 セーター政権の第2党、プームジャイタイ党々首のアヌティン・チャンウィラクン副首相兼内相(57)は18日、「元ボス」であるタクシン氏の健康の回復を待って、タクシン氏に面会する考えを示し、「政府の多くの人がタクシン氏にアドバイスを求めるだろう」と述べた。アヌティン氏はタクシン政権(2001〜2006年)で閣僚を務めた。

 王党派は2005年から、タクシン氏が王室の権威に挑戦しているなどとして、タクシン派との対立姿勢を鮮明にした。以来、2006年と2014年の軍事クーデター、司法によるタクシン派政党の解党などで、選挙に強いタクシン派政権を3度、崩壊させ、2014年から2023年まではプラユット元陸軍司令官率いる事実上の軍事政権で国を支配した。しかし、2023年の総選挙では、王室改革、不敬罪の改正廃止などを掲げる民主派政党、ガウクライ(ムーブフォワード)党が躍進して第1党となり、時代と民意の変化が浮き彫りとなった。こうした中、王党派とタクシン派は政権と利権の保持のために手を握り、ガウクライ党を排斥して、呉越同舟の政権を発足させた。

 〈タクシン・チナワット〉1949年、タイ北部チェンマイ生まれの客家系華人。中国名は丘達新。警察士官学校を卒業後、米国に国費留学し、刑法学博士号を取得。帰国後、警察に勤務するかたわら、官公庁へのコンピュータリース、不動産開発などを手がけ、1987年に警察中佐で退職。その後、携帯電話サービス、通信衛星などを展開するタイ通信最大手チン・グループを育て上げた。1998年に政党を設立。地方、貧困層へのばらまき政策を掲げ、2001年の下院総選挙で大勝し首相。2005年の総選挙も圧勝、首相に再選された。王党派との対立が深まり、2006年9月の軍事クーデターで失脚し、事実上の国外亡命生活に入った。米経済誌フォーブスがまとめた2023年版のタイ長者番付で、タクシン氏は資産総額約21億ドルで13位だった。

 

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